極・飛鳥

2013年3月21日

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極・飛鳥
編 集:橿原・高市広域行政事務組合

出版社:西日本出版社

書は、橿原市・高取町・明日香村の飛鳥地方の「ご利益」や神話・歴史のエピソードが満載で、楽しみながら学び、情報収集ができる他、飲食・宿泊・お土産・イベント情報なども網羅した読み応えのある観光情報誌。明日香村石舞台から、飛鳥川に沿って芋峠を超え吉野へ向かう上市街道。この古道は、さらら姫こと、後の持統天皇が何度も通った道。持統は、大化の改新の年に生まれる。幼くして母の実家の祖父、蘇我倉山田石川麻呂(そがのくらのやまだのいしかわのまろ)が謀反の疑いで自ら命を絶ち、続いて母も失う。やがて姉の大田皇女(おおたのひめみこ)とともに天武天皇のもとに預けられる。さらら姫は、父天智天皇の政治的センスを受け継ぎながら、姉の大田や万葉歌人、額田王の影で長く待たされたひと。吉野への古道が通る奥明日香は、河瀬直美監督「朱花の月」の舞台でもある。映画の原作は、坂東眞砂子の小説「逢はなくもあやし」。古代人は、相手を見ることで魂を手繰り寄せられると信じ、待つとは、ただ相手を思って生きること。古代から変わることなく、人の生とは、つくづく、待ちつ待たれるの中にあるのではなかろうかと、問いかける。

本から始まる旅がある。

    オススメ旅プラン
  • 奥明日香

    奥明日香

    問合せ先:明日香村役場(奈良県高市郡明日香村大字岡55)
    Tel:0744-54-2001

    野讚良(うののささら)皇女が持統天皇となる人生で、吉野に向かい何度も峠を越えた奥明日香。明日香村の南東方向にある稲渕(いなぶち)、栢森(かやのもり)、入谷(にゅうだに)の3つの集落をさす。そこにある棚田の景観は、2011年春、奈良県で初めて重要文化財に選定された。棚田は丘陵に沿って、土や石垣で土坡(どは)という盛り上げを作り、水の流れをコントロールする。                                                                                                                

  • 水落遺跡

    水落遺跡

    住所:奈良県高市郡明日香村飛鳥
    問合せ先:0744-54-5600(明日香村文化財課)

    鳥盆地の中央で飛鳥川東岸にある『日本書紀』の天智天皇10年(671)に記載されている基壇を設けた楼状建物で、時計の跡。礎石を地中下1mに据え、柱と石製の梁を巡らし、基壇内に花崗岩の台とラッパ状の細い銅管を設置し、水が流れる木製の樋(とい)と銅管を設置。樋から入る水をラッパ状の銅管で高く吸い上げ、黒漆塗の木箱に流し込む。古代より時を管理することが政治。それは1G(重力)を見つめ工夫することだった。                                                                       

  • 羅紫御翳

    羅紫御翳
    らのむらさきのおんさしは

    住所:三重県伊勢市神田久志本町1754-1
    Tel:0596-22-1700

    勢神宮の式年遷宮の制度は、持統天皇4(690)年に始まる。以来、綿々とその伝統の技の継承も取り組まれる。「羅紫御翳」は貴人に差掛けるもので、古墳時代の埴輪や高松塚古墳の壁画にあるサシバ(扇)とキヌガサ(日傘)。羅は、経糸を絡み合わせ、間に緯糸を通す、薄く透き通った織物の一種。紗や絽より経糸の数が多く、織り目が網のようになる技法。応仁の乱で技の継承が途絶えたが、人間国宝喜多川平朗によって復元された。

    神宮徴古館蔵

極・飛鳥

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