万環百話
![]() |
泥が転じて名所となる くらしの算段⑮ |

商都大坂の繁栄は川・堀とともにあるが、河川は年々堆積物で埋まる。そこで川のおおざらえ、浚渫(しゅんせつ)工事である。天保2(1831)年から2年かけて天保のおおざらえを行った。幕府が供出金をだし、豪商から庶民まで寄附をする。まず町毎に衣装をつくり、町毎総出で川さらえを競い合う。また集めた土砂で河口先に山をつくり、天保山と名をつけて、桜を植える。吉野の見立て、花見の名所となる。この山は標高4.53mの日本一低い山としても有名である。美しさは、算段である。
くらしの算段