万環百話
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まずは、飯食ったか? くらしの算段⑥ |

俳諧師で浮世草子作家の西鶴が書いた「日本永代蔵」は、お金持ちになったひとや家の話をつづっている。共通するのは、正直、勤勉、けちではない。江戸時代、北前船で繁栄する山形・酒田湊の大店、鐙屋(あぶみや)の話。北から南から東から、お店を訪れたお客は、まず台所に通され、米どころの海の幸、山の幸で腹一杯もてなされる。それから仕事の交渉。話がスムーズに進むだけでなく、お礼に貴重な情報もお客は話して帰る。鐙屋の算段である。
くらしの算段