たった一つしかないいのち。
サムライは、いつも肌でそれを感じていた。
だから記録よりも記憶だった。
樫鳥糸(カシドリイト)肩赤威(カタアカオドシ)胴丸 秋田一季氏寄贈
室町時代 15世紀 東京国立博物館蔵
兜は、花弁を縁取る色のように、金メッキで筋飾り、
神仏の守護を得るその前立は、クワガタと日輪。
胴体を囲い、右脇で引き合わす鎧の胴丸は、
黒漆を塗った小さな鉄板を、紺糸に紅染めの赤糸を、
斜めに打ち込む組み糸(樫鳥)で、とじ連ねる(威)、
大袖の上段、肩の部分は、赤糸で威す。
色褪せぬ美を伝える、
シンドバットの宝物 (Treasure of Sinbad)。
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