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著 者:クリスチャン・ノルベルグ=シュルツ 出版社:住まいの図書館出版局 |
ニウスは守護霊、ロキは場所、ゲニウス・ロキは「場所の守護霊」という意味。それぞれの場所にひそむ地霊、その力のようなものをさし、古代ローマ人はゲニウス・ロキから、その場所の安定性や個性を感じ取ったのだ。本書は、プラハ、ナイル河沿岸の植民都市ハルトゥーム、ローマの3つの場所を分析比較して古代ローマから現代にいたるまで建築物が、自然と人間の「間」で、「場所の守護霊」を取り込むものであったことを示唆する。場所の雰囲気や、少し異なる時間の流れを感じ取らせる本質がゲニウス・ロキ。パリのルーブル宮殿やオルセー美術館の建築物正面デザインのファサードにもゲニウス・ロキがひっついてくるし、L字型の、高さ100mのガラス張り超高層ビルが4棟向かい合うパリの国立図書館もまた光のゲニウス・ロキを引用した建物。建築は技術であり、環境や風土から感じた自分の経験を、そこを訪れたひとに感じてもらう方法論である。また自然を解釈する方法論として、言葉の詩ではない身体的な詩である。建築がそうであるなら、大地から素材を得てつくられるグランシェフの料理も、自分の主観的体験や経験の質感をもって伝える技術であり、身体的な詩である。
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旧横浜船渠2号ドック ドックヤードガーデン住所:神奈川県横浜市西区みなとみらい2-2-1
Tel:045-222-5015パーマーは、水道の他にも、港町には船を修理するドック・船渠(せんきょ)や倉庫の充実が必要と説き、渋沢栄一や横浜地元の財界人が、横浜船渠を明治22(1889)年に設立する。はじめは船舶修理、やがて建造と進み、第1号ドックでは氷川丸がここで誕生。第2号ドックは、野毛山公園から見えるみなとみらい地区にドックヤードガーデンとして復元し、保全されている。石造りで、その石は鎌倉の寺社、江戸城、品川お台場で使われた優美、堅牢な真鶴(まなづる)の小松石。日本の近代は、日本の近世の技と工夫を下敷きにした!