万環百話
諸行無常が響き渡るアンコール ジャングルと仏像たち⑥ |
クメール王朝後のカンボジアも、力による支配と平等なる慈悲が交錯・混在したように思える。発見されたジャヤーヴァルマン7世の石像には、深く内観する様子が現れる。都市にひとが集まり、富が蓄積すれば、ひとの煩悩も高まる。世の常である。12世紀のアンコールは、力と慈悲のバランスがとれた極めてまれな時期。江戸初期、平戸藩士森本一房は朱印船で渡海しアンコールを訪ね、そこに祇園精舎の面影を感じる。時が過ぎても残るものがある。
ジャングルと仏像たち