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籔内 佐斗司  彫刻家、東京藝術大学教授
過去の遺産を現代に受け継ぎ次代の日本人に、確かに手渡すこと
叡智を彫る!(1/3)
薮内 佐斗司
大阪生まれ
彫刻家、東京藝術大学教授、平成遷都1300年祭キャラクター「せんとくん」の作者。

彫刻家として、古美術の保存と修復の経験に基づく確かな技術で木彫、またブロンズ作品を通じて、仏教的世界観や東洋的自然観を暖かく懐かしい造形で表現する。
屋外や公共空間にも活躍の場を広げ、住民の側に立ったまちづくりにも積極的に参加している。
また東京藝術大学教授として、1000年前の仏師の体験を自らのものとする「模刻」を通じ、優秀な若き人材を育て、文化財を現代に活性化させる意味を指導する。
Tabizu Intervew―Yabuuchi Satoshi

私の作品のバックボーンは 日本人の精神的な世界、日本で熟成された アジアの叡智です

島田 今、奈良を訪れる多くの観光客の皆さんが、先生の作品である「せんとくん」の人形の前で記念撮影をしていますね。そして先生の他の作品「韋駄天」などの童子が街のあちこちに展示されていて、街がとても楽しい雰囲気に包まれています。

籔内 私は、東京藝術大学大学院で仏像を中心に文化財修復と古典研究に携わっていますが、自分の本職は彫刻家だと思っています。そして作品の源泉は、自分の遺伝子の中に流れている日本人の精神世界や宗教観であり、その源流であるアジアの叡智です。それらを自分の作品として今に蘇らせることが私の天職だと思っています。随分前にあるお坊さんから、「仏師が彫った仏像でも仏さまになっていないものがある。あなたの作品は仏像の形をしていないけれども、仏さまになっている」と言われたことがあります。せんとくんもそのひとつであると思っています。

 2500年前にインドで起こった仏教が北インドからガンダーラへ上がってオリエント文明と接触して中央アジアへ向かう。中央アジアでは大乗仏教が栄え、それが中国へ入り、朝鮮半島を通って1400年前に日本に伝来しました。しかし、お釈迦さまの教えがそのまま伝わったのではなく、伝播する過程で異文化とふれあい、それらを柔軟に吸収しながら、豊饒な宇宙観を持った大乗仏教という世界宗教へと変貌しました。多くの日本人は、明治になるまでの日本の文化の底流を中国文明だと思っているけれど、実はその中心にあった大乗仏教にはユーラシアの豊かな文化や文明が入り込んでいた。そしてそれが日本で保存され日本文化として開花したわけです。ですから日本の仏教は、とてもグローバルだといえます。

 仏教そのものはインドではほとんど消滅しました。また大乗仏教の花が開いた中央アジア-たとえば一大仏教圏を築いたアフガニスタンなどでも、ゾロアスター教やイスラムによって徹底的に廃仏が行われました。中国でも、「三武一宗の法難」といわれる四人の皇帝によって徹底的に排仏が行われている。これはおもに道教の側による排仏ですが、中国における五番目の法難は、社会主義による文化大革命でした。朝鮮半島では、李氏朝鮮の時代に徹底的な排仏運

動が興り儒教国家になった。だから日本のように1300年間、仏教が連綿と息づいている国というのは、実は非常に少ない。日本は大乗仏教の博物館といってもいいでしょう。でも日本人自身はこのことの重要性に気がついていないし、忘れている。ですから、祖先のこころの遺産を「童子」という作品を通じて、現代の、そしてこれからの日本人に伝えていくのが私のつとめだと思っています。

 仏教というのは、非常に面白い宗教で、スポンジのように行った先でさまざまなことをどんどんと吸い込んでいく。これが一神教のキリスト教とかイスラム教と違うところです。例えば、仏教はインドで生まれたけれども、そのインドで既にバラモン教と折り合いをつけ、中央アジアでゾロアスター教のエキスを吸収している。チベットでは霊魂や死生観を取り入れ、中国へ行けば道教や儒教を取り入れる。ただ、それぞれの地域の宗教が巻き返して原理主義が台頭すると、排仏が興ったわけです。

 では日本ではどうだったか? 2000〜1500年前の日本列島には、18世紀のアメリカ合衆国のように、色んな所から来た人達がモザイク状にそれぞれのコミュニティーを作り住んでいた。やがてひとびとの祖霊と日本列島の大地と自然を崇拝する思いが神道という形で徐々に統一されていた。そこへ仏教が入ってきて、それらと共存し習合したのです。だから日本人が考えている仏教と、中国人や韓国人が考えている、あるいはインド人が考えている仏教とは全く違うものといえます。

 全ての芸術活動や人間の活動というのは、その場と時代の雰囲気を吸い取って成り立つものです。だからそれぞれの個々に文化を生み出す。何も変わらない普遍性をて日本に定着している、というのが私の持論です。バラモン社会を否定して誕生した釈迦の教えが、遠い東の国で仏教の名の下にバラモン教化しているとは、興味あることです。仏教寺院や僧侶は、永く特権階級でしたし、今も信仰が厚い大黒天、弁財天、帝釈天、吉祥天など寺院に祀られる「天」の付く神さまは、すべてバラモン教の神々だったわけですから。
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関連書籍

籔内佐斗司作品集
『やまとぢから』
籔内佐斗司著
青幻舎発行
  • 編集後記
  • 岡倉天心の理念は、近代化の波に埋没してしまう日本のこころを活性化させること。2500年前にインドで起こった仏教が、ユーラシアの豊かな文化や文明が入り込んで日本文化として開花。土地の霊力というものは確実にある。熟成されたアジアの叡智とゲニウス・ロキ(土地や場所の力)を見つめ直せば社会の活性化がはじまる!
Tabizu Intervew―Yabuuchi Satoshi
■前回:徳川 恒孝
明日の「この国のかたち」を思う


■次回:吉澤 保幸
この世で最も大切なことは いのちを営々として繋ぐこと

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