大工一代

著 者:平田雅哉
出版社:池田書店,建築資料研究社

ランシェフは、UMAMIを込めるために一皿の料理を立体的に設計する。また平面的に書かれた彼らのレシピーを立体的に創造し考えてみても、その調理の際の彼らの質感を感じることはまたなかなか難しい・・・。「ええか、よう聞けや。おまえの傷は舐めればなおるかもしれんがな、この柱の疵は永遠に直らんのや。わかったか!」。森繁久弥が主演した東宝映画「大工太平記」のモデルの平田雅哉(1900−1980)は、昭和の初めから同30年代まで、大阪を中心に活躍した大棟梁。芦原のつるや旅館、なだ万、錦戸、吉兆、城崎の西村屋、八日市の招福楼などを手掛ける。暴れ者で、頑固で、仁義を通す男。彫り物技術や製図技術に堪能で、またその言葉もはっきりすっきりとしている。「わしを信用せんのやったら寄ってくるな」、「大阪の工夫と関東の気っ風。この両方が上方には必要なんや」、「どんなときでも、うろうろする奴が一番あかん」、「この人は偉い人やとおもうたら、その人のことが盗めるまで、自分の文句を言うな」。仕事の現場の質感を伝える日本の職人魂がいっぱいつまった一冊。現代のグランシェフと昭和の大棟梁、時空を超えてそこには通じる味わいがある。

本から始まる旅がある。

    オススメ旅プラン
  • 高開(たかがい)の石積

    高開(たかがい)の石積

    住所:徳島県吉野川市鴨島町鴨島115-1
    問合せ先Tel: 0883-22-2226(吉野川市商工観光課)

    たちづくる。建築は、1G(重力)を見つめ、効率と合理性を見つめる。それは古代より人に備わった資力。野外博物館美郷の玄関口、美郷ほたる館から徒歩で約3km、文化庁の「文化的景観」に選定されるこの石積み。300年以上急峻な土地での農地確保のために積み上げられたもので、決して一朝一石ではできず、仮に機械で積んでも300年の維持管理はできない。ライトアップされ、浮かび上がる石積の姿には、目から鱗が落ちる。                            
                                    

  • 草庵茶室「松花堂」

    草庵茶室「松花堂」

    住所:京都府八幡市八幡女郎花43
    Tel:075-981-0010

    花堂昭乗(しょうじょう)がプロデュースした草庵。昭乗は、江戸時代初期に活躍した「寛永の三筆」で石清水八幡宮の社僧。茶の湯や和歌、書画など多芸に秀でた昭乗は、茶の湯を通して公家と武家の仲介役としても奔走した。八幡市立松花堂庭園・美術館には、男山にあった遺構「松花堂」と泉坊書院が移築されている。庭園には、黄金色の桿(かん)で芽溝部に緑の縦縞が入った、荘厳なる金明孟宗竹(きんめいもうそうちく)も植えられ、絵心をもった大書家の面影がよく演出されている。                         
    ※画像:八幡市立松花堂庭園・美術館

  • 岡田三郎助筆「矢調べ」(佐賀県重要文化財)

    岡田三郎助筆「矢調べ」
    (佐賀県重要文化財)

    住所:佐賀市城内1-15-23
    Tel:0952-24-3947

    の作品が描かれたのは、明治26(1893)年。描いた岡田三郎助は、女性像を得意とし、後に明治、大正、昭和にわたり東京美術学校で西洋画の指導をし、日本近代洋画史のアカデミズムを代表した。佐賀の名家に生まれ、描いた当時は24歳。日本的な心情を洋画に映す。心情とは、慈愛や慈悲から生まれる眼差しである。また庭のように日々つくるものであり、学び、教え語り伝えるものである。これが佐賀の思想であり歴史だ。                     

    佐賀県立美術館所蔵


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