すぐわかる茶室の見かた
著 者:前久夫

出版社:東京美術

書は、茶室をまったく知らない人でも気楽に楽しめる入門書。まず茶室は「広間」と「小間」に分かれ、その違いは四畳半以上が「広間」で、それ以下が「小間」。その大きさの違いにより、行われる茶の湯の性質が変わる。茶室とは、小さく言えばお茶を点(た)てる座席のこと。大きく言えば、飛び石のある露地・庭、待合、水屋を含めてのこと。また茶室には、壁をくり抜いてその下地が見える下地窓、竹の格子がある連子窓(れんじまど)があり、それぞれに窓から取り込む光の違い、面白さがある。そして本書では、選りすぐりの茶室40席が紹介される。利休の求道性を張りつめた空間にみる妙喜庵待庵(みょうきあんたいあん)、織部好みといわれる奈良の名席、奈良八窓庵、そして石清水八幡宮の社僧で、「寛永の三筆」にも数えられる江戸初期の文化人・松花堂昭乗(しょうかどうしょうじょう)が、男山山中の寺坊の一つである泉坊の傍らに建て、晩年を過ごした草庵「松花堂」。茶室は、それぞれの茶人の多層なる精神構造が編集表現され、移り行く自然の中で、留まらない作法・動きの合理性と調和する設計がなされている。茶室の見方を知り、読み解けば、室町の利休、桃山の織部、江戸の昭乗の面影が浮かび上がってくる!

本から始まる旅がある。

    オススメ旅プラン
  • 竹の生垣(桂離宮)

    竹の生垣(桂離宮)

    住所:京都府京都市西京区桂御園1
    問合せ先Tel: 075-211-1215(宮内庁京都事務所)

    の離宮は江戸期、八条宮智仁(としひと)親王が建てた別荘で、造営時の庭園と建築が残る。桂川の水を引く池を中心に、茶屋、築山(つきやま)等を配した回遊式庭園。書院は書院造を基調に数寄屋風を採り入れる軽(かろ)みの美。竹の生け垣はその象徴である。智仁親王は秀吉の猶子となるが、秀吉の実子誕生で皇籍に復帰。しかし、復帰した親王は皇位継承出来ず、八条宮家が新たに創られた。親王は歌人である。その柔軟さと一途さ、竹のごとく。

    ※参観は事前申込(宮内庁HP参照)

                                  

  • 草庵茶室「松花堂」

    草庵茶室「松花堂」

    住所:京都府八幡市八幡女郎花43
    Tel:075-981-0010

    花堂昭乗(しょうじょう)がプロデュースした草庵。昭乗は、江戸時代初期に活躍した「寛永の三筆」で石清水八幡宮の社僧。茶の湯や和歌、書画など多芸に秀でた昭乗は、茶の湯を通して公家と武家の仲介役としても奔走した。八幡市立松花堂庭園・美術館には、男山にあった遺構「松花堂」と泉坊書院が移築されている。庭園には、黄金色の桿(かん)で芽溝部に緑の縦縞が入った、荘厳なる金明孟宗竹(きんめいもうそうちく)も植えられ、絵心をもった大書家の面影がよく演出されている。

    ※画像:八幡市立松花堂庭園・美術館蔵

                                    

  • 千利休作「竹一重切(いちじゅうぎり)花入 銘 園城寺」

    千利休作「竹一重切 花入 銘 園城寺」

    住所:東京都台東区上野公園13-9
    Tel:03-3822-1111(代)

    利休が、天正18(1590)年、秀吉の小田原攻めに同道し、伊豆韮山(にらやま)の竹をもって作った3作の花入の内の1作である。真竹の2節を残し,一重の切れ込みを入れた簡潔な作で、以後、竹花入の流行を生む最初期の古典となる作品。子息千少庵が裏側に彫った「園城寺」の銘は、表面の干割れ(ひわれ)を滋賀県・大津の園城寺(三井寺)の破れ鐘にちなんだもの。利休はこの年、愛する弟子の山上宗二(やまのうえそうじ)を小田原で失い、翌年の年が明けて自身が切腹することになる。    

    東京国立博物館蔵

                                     


By :
Comments : 0