ポーの一族

2013年6月27日

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ポーの一族

著 者:萩尾望都はぎおもと
出版社:小学館

尾は、ファンタジー、ミステリー、ラブコメディー、心理サスペンスなど幅広い分野に作品を発表する少女漫画家。その代表作「ポーの一族」は、永遠のこどもであるこどもがテーマで、少年愛を描く。主人公のエドガーは永遠に14歳のままで、アランも「ときを超えて遠く行く」と決意。物語の中では、ふたりの歳をとらない少年とひとりの成長する少女が同時間進行していく。そして物語の登場人物のすべてが、バンパネラ、吸血鬼の一族である。ただし大老ポーに血を授けられたエドガーだけが、バンパネラに変異する。そしてこのポーの一族は、恐怖小説、ダーク・ロマンティシズムの小説家、エドガー・アラン・ポー(1809−1849)の末裔である。一族でバンパネラが遺伝しない。大老ポーから授けられる「血」を「技」と置き換えると、和歌や華道、能などの、ひとりのこどもだけに家の芸が伝えられる一子相伝ともかさなるストーリー。また「時間」が絶対的ではなく、ひとの中でそれぞれに存在するところは、ひとの中に存在する「世界」とも置き換えられる。ストーリーの組み立ては欧米化されているなかで、日本の伝統の文化や価値観が含まれて描かれているとも読める作品だ。

本から始まる旅がある。

    オススメ旅プラン
  • 大湯ストーンサークル館

    大湯ストーンサークル館

    住所:秋田県鹿角市十和田大湯字万座45
    Tel:0186-37-3822

    切なことは自然のリズムとともに生きること。そこには闇はあっても、死という概念はなかった。そして時間は直線ではなかった。4000年前の縄文後期の遺跡、大湯環状列石。隣接する掘立柱建物や周囲から出土した祭祀の遺物などから、葬送儀礼や自然に対する畏敬の念を表す儀式を行った「祭祀施設」だったと考えられている。円環的、同心円状の世界観の中で、自然と生命が循環することを、本館はわかりやすく伝えてくれるのだ!                                                                                    

  • 淡路ファームパークイングランドの丘

    淡路ファームパークイングランドの丘

    住所:兵庫県南あわじ市八木養宜上1401
    Tel:0799-43-2626

    当に大切なことは人から人に伝えられた。それは文字の発明により文明が始まる前から。大鳴門橋を渡った対岸の淡路島にあるテーマパーク。イングランド北部湖水地方の風景が広がるイングランドエリアがある。自家製グルメやパン作りなどの手作り体験教室、菜園での収穫体験、小動物とのふれあいや季節の花々が楽しめる。湖水地方のケルト文化は、自然を崇拝し、あえて文字を使わず口承で歴史を伝えた。日本文化にかさなる文化だ。                                                                                 

  • エミール・ガレ作「寄せ木細工」

    ガレ作「寄せ木細工」

    住所:岐阜県高山市上岡本町1-124-1
    Tel:0577-35-3535

    る幕末を前に、孝明天皇即位の弘化3(1846)年、フランス北部ドイツに近いナンシーに陶磁器とガラス器を商う家にエミール・ガレは生まれた。後にガレは、「花の様式」と言われる自然の植物をモチーフにしたガラス、陶器、家具を制作し、デザインする。ジャポニズムが高まる明治11(1878)年のパリ万博にも作品を出展し、渡欧した水墨画を得意とする高島北海とも交流。ガレが目指したものは「生活の美」。日本の伝統的な「用の美」にかさなる。飛騨高山の匠にかさなる。                 

    飛騨高山美術館所蔵

ポーの一族

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